発達障害って何だろう?

自閉スペクトラム症や注意欠如多動症については、普段の会話で耳にするくらい、広く知られるようになりました。発達障害を端的に説明すると、生まれ持った資質や、成長過程で育った能力に、普通よりも目立つかたよりがあって、日常生活に支障をきたしている状態、となります。

自助努力だけではうまくいかない状態が続いている、と認定(診断)されれば、法に基づいた支援が受けられるようになります。合理的配慮に関する法律が制定され、国民全員が、必要な支援や配慮を提供する責務をもっています。

一方で、当事者視点に立って、理解が進んでいるとは限りません。当事者から求められたことが「わがまま」「甘やかし」と捉えられる場合も多く、どのような対応が必要なのかわからず、教育現場や就労の現場で、すれ違ったままになっていることも多いかと思います。

発達支援に関わる療育や教育現場では、診断名は支援の手掛かり・看板としては必要であっても、診断名にとらわれすぎず、発達特性やその方の持っている強み・弱みにあわせた支援方法を、ご本人の反応をみながら、成長に合わせ、試行錯誤し調整していく必要があります。


専門家・支援者と、ご本人・家族の協働作業

発達障害特性がある方には、さまざまな生活場面で、通常よりも労力がかかってしまったり、つまずくポイントがあったりします。支援者は、関わりのある人々から集めた情報や、限られた時間と空間での様子や工夫の試行錯誤の経験から、生活全体を想像し、必要なサポートを手配するための助言や支援を行います。

支援者が提供する支援方法は、その人なりの経験や、得意不得意などの癖があり、相性が問題となる場合もあります。そして、必要な支援を、必要なタイミングで提供するために、ライフサイクルの視点から俯瞰するには、熟練を要するように思います。また、支援者が、ご本人やご家族にお話しする時間を十分とれず、ご本人の様子や支援者の関わり方について、どう捉えればよいか、なぜそうするのか、の説明が足りていない場合があるように思います。そのため、ご家庭でどうすれば良いのかがわからない、他のご家族にうまく説明できない、という悩みをお持ちの方も多いかと思います。

周りが良かれと思ってしていたことでも、専門家が勧めたことでも、確認してご本人が希望したことになっていても、本音は望んでいなかった、と随分時間が経ってから告白される場合もあります。言葉で表現できない方でも、それ以外の方法で表現できるように工夫すれば、驚くほど意思表示してくれるようになる場合もあります。ご本人が何を望まれているのか、言葉だけではなく、さまざまな様子から読み取っていくこと、表現するサポートを行うこと、が大切な支援になります。


医療機関の診察と、クラマウリのオンライン相談の違い

処方箋発行による薬の処方、診断書による福祉サービス利用(特別児童扶養手当、障害年金等)、医師の指示による医療関連サービス利用(作業療法・言語療法などのリハビリテーション、訪問看護等)などについては、医療機関でなければできないことです。クラマウリは医療機関ではありませんので、こういったサービスをご希望の方は、医療機関の受診をお願いいたします。

児童精神科を標ぼうしている医療機関は少ないため、どこも予約が取りにくいかと思います。また、保険診療で採算が取れる範囲で診療にかけられる時間は、初診30分・再診10分程度、予約間隔は1~3か月に1回、というケースが多いように思われます。診察する側としては、必要最低限のサポートを限られた時間で提供する技術を磨くのですが、端折った部分を補ってくれるような存在が必要な方もおられるように思います。

こういった、医療機関の診療を補完する役割を、クラマウリのオンライン相談ができれば、と思います。また、オンライン相談のメリットは、一般的な診察と異なり、家にいながら相談できる、という点にあるように思います。自閉症特性や不注意特性などについて、支援を要する度合いの大きい方の場合は特に、生活の動線や物の配置などがカギになる場合があり、ご家庭の様子を見せて頂きながら、生活環境についてのアドバイスが可能になります。病院や診療所など、慣れない場所に行っての相談に慣れるのには時間がかかる場合もあるかと思いますが、オンライン相談ですと、ご自身の自宅での相談ですので、ハードルが下がるかと思います。また、相談に前向きではないご家族でも、わざわざ相談に出向くことなく、それぞれが考えておられることを共有しながら、考え方や関わり方をすり合わせていく、といったこともできそうです。

発達障害の支援には多職種による連携が大切になります。オンライン相談の場合、使い方によっては、学校の先生や療育スタッフとご本人・ご家族が一緒に、現場での状況を共有したうえでの相談も可能になります。


クラマウリで相談できること

医師には、支援の方向性を見きわめること、行き詰まっている場面でのかじ取り、関わっておられる皆さんのバックアップ、薬物療法に関する相談、などが役割としてあります。当法人のオンライン相談では、医療機関ではないので、お薬を処方することはできませんが、どういったお薬で、何に注意すればよいか、どのように考えて活用すればよいか、等のご相談には応じられます。

心理職には、心理検査を行ったり、皆さんのお話やご様子から、強み弱みなどの特徴、成長の支えとなる資質などを見つけ、活かしていくことを考える、といった役割があります。当法人のオンライン相談では、ほかの機関での検査結果等の説明がよくわからなかった、活用の仕方がイメージしづらい、といったお困りについて、サポートさせて頂けるかと思います。

自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如多動症(ADHD)の他、発達性協調運動症(DCD)や限局性学習症(LD、学習障害)についてのご相談も受け付けています。

発達性読み書き障害は、一般の方が思われているよりも、軽度の方を含めると、かなり多くの人が特性を持っていると考えられますが、教育の分野の方々でもそのことを理解されている方は少ない、と感じています。粗大運動や巧緻性といわれる能力は、生活能力として大きな問題にならない程度の不器用さでも、勉強で必要とされるレベルの複雑さや量になると、問題が生じる場合があります。やる気がなくなる、勉強嫌いになる、などの問題がこじれてから相談を勧められる、他の診断を受けていても時間が経ってから気づかれる、という場合もまだまだ多いように思います。そして、困っている状況を的確に見立ててサポートしてくださる、児童専門の作業療法士や小児科の発達の専門家、十分な経験とスキルを持った通級指導教員など、スペシャリストに出会える方はごく一部かと思われ、必要な支援や配慮が受けられないままになっている方がたくさんおられるかと思います。

オンライン相談では、検査実施には制約が多いのですが、運動場面や学習場面の様子を動画等で見せて頂いたり、今までの興味関心をもって取り組んでこられたことを詳しく伺うことで、お困りに関係する発達特性の分析や、対策を考えることが出来るかと思います。